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 ファンタジー絵本 猫島奇譚

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17匹の猫たちは今日も穏やかな朝を迎えた。
今日、2(ねこ)月の22(にゃんにゃん)日は特別な日・・・
この日にだけ猫岩の中腹に朝日で「CAT」の文字が浮かびあがる。
ボス猫は猫岩の天辺から海を眺めるのが日課・・・今日も海は静か。

太陽に照らされる磯には流れ着いた「五郎丸」と書かれた浮き輪が一つ。
中には「シロ♀とクロ♂」の夫婦。
二匹の間をすり抜けた朝日は「ハート」の形・・・深い愛!!
周りには彼そっくりのやんちゃな黒猫が4匹、幸せいっぱい!!
五郎丸と一緒に流れ着いたのは何故か、ラグビーボール。
狸猫♀は興味津々「これって、何かの卵?食べられるの?」。

その時「ボス猫」が猫語で叫んだ!
「船が来る!!」

猫たちに緊張が走る。
岩に上がろうとする猫
足を滑らせ宙ぶらりんになる猫、
われ関せずと眠る猫もいるが・・・
猫たちが太平の眠りから覚めた「猫の日」でした。

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※絵をクリックすると「CAT」文字の場所が判ります。

「猫島奇譚」  油彩 筆 F50号




船は沖合に停泊すると、船員たちがボートで島に上陸してきた。
猫たちは本能的に身を隠(かく)した。
船員たちは浮き輪を見つけると・・・
戦利品でも見つけた如く小躍りして、帰って行った。
猫たちにはその意味が分からなかったが、
見つからなかったことに安堵した。
船は夕方どこかへ去っていった。

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「帰 港」  油彩・ナイフ・筆・F8号





その晩、船員たちが残した焚火を囲み猫たちは集会を開いた。
空には十七夜の月
天の川が美しい・・・

猫島新島の噴火が本格化

ドッカーン、ドッカン、ドンドン!!!

猫たちも振動した。

長老が言った。
「この島は物騒になった」
「島を捨てようと思うが・・・」
「いかがかな?」
猫たちは住み慣れた温暖な猫島を後にすることになった。

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「猫の集会」  油彩・ナイフ・筆・F12号






翌朝、猫たちは 

島で見つけた五郎丸の

ゴムボートに乗って島を旅立った。

(船員たちにボートが見つからなかったのは謎だが・・・)

猫たちの行く手に何が待つのか?

(水はスコールから、食料は飛魚・・・猫達は生き延びた)

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「猫島脱出」  油彩・ナイフ・筆・F20号








やがて・・・猫たちは、

流れに乗って・・・島に着いた

(城ケ島だということは後で知った)

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「城ケ島」  油彩・ナイフ F20号




上陸した猫たちは 橋を渡って「盗人狩(ぬすっとが)り」に

たどり着き、そこに住む猫一家に遭遇した。

「ようこそ おいでなすった」

「ここは日本というところさ」

「住みにくいところだけど 面白いと

ころさ・・・」

「お元気で!!

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「盗人狩りの猫一家」 油彩 筆 P30号







猫たちは 

これからのことを話し合った。

「集団でいるより

それぞれ好きな道を進もう」

そう決まった。

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「城ケ島の朝」 油彩 ナイフ F20号





ミーコは富士山の見える家に住む飼い主に
巡り合い素敵な正月を迎えた。

しかし、彼女は・・・
富士山より、花より、
メジロに興味があった。

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「早春富嶽」 油彩 筆 F6号



コハクは 庭いじりのすきな優しい女性の飼い主に出会った。

僕は「花より“猫缶”が好きだな!」
だけど、本当は・・・

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「水仙」 油彩 筆 F4号




コハクは、猫缶より お母さん(モモ・飼い主)の方が

もっと、もっと好き。

お母さんの声が聞こえるとウットリしてしまいます。


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「コハク」 油彩 筆 F3号






三毛猫のトモくんは
曽我梅林で飼い主に出会った。
木登りの大好きなトモくんは
ここが大変気にいった・・・
鶯と遊べるのも、うれしかった。
でも、梅の実はキライ!!

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「梅林」 油彩 筆 F4号



フ〜ちゃんは 農家の飼い主に出会った。
小父さんの畑は 春には菜の花で一面黄色く染まり、
その向こうには桜、そして残雪の山々
もっと素敵(すてき)なのは・・・
蝶が群れ飛び、狩りができること
今日も3羽、ゲットだ!!
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「蝶と遊ぶ」 油彩 筆 F4号



ケイちゃんは富士山の見える家に住む
新婚サラリーマンの飼い主に拾われた。

五月には凧揚げ、鯉幟

小父さんが
「来年はこの下に小さな赤い鯉が泳ぐ」
って、それって、どういう意味

誰か教えて!・・・

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「鯉幟」 油彩 筆 F4号




シロの家族(夫・クロネコと4匹の子猫)は柿生のお寺に住むことになった。
庭も広く石仏や紫陽花がいっぱい。
子猫達も自由に遊べ 素敵な子育て環境に大満足!!
でも、カタツムリに出会った時は ビックリしたな!
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「カタツムリ」 油彩 筆 F3号

舞台は柿生の「淨慶寺」



お隣の 虎猫のハンサム君が時々
遊びに来るの・・・ 雨が降ってもよ
石仏に 恋しているの?
それとも、赤い傘に?
それとも、それとも・・・
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「雨宿り」  油彩 筆 F4号 



リンダは縁あって北海道・雨竜の農家に拾われた。
飼い主のおばさんは鎌倉の人。
里帰りの車に轢かれそうになったのが縁、
夏は向日葵畑の昼寝がお気に入り
冬は暖炉の前・・・その話はあとで
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「お昼寝ZZZ」  油彩 筆 サムホール 


ポンは狸に似ているのでポン。
外見に似合わず花が好きな女の子。
花の都は、浅草、「花やしき」のそばの
土産物屋さんに住み着きました。

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「狸猫」油彩 筆 F4号!



満月の夜、ポンは
蝙蝠が飛び交い、魔女が満月を横切り、
お化けがニャア〜!ミャ〜と鳴き、

提灯がパナパナと笑い、
かぼちゃが、パン、プゥ!キン〜!!

と叫ぶ光景に 驚愕したのです。
初体験のHALLOWINの夜でした。

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「ハロウィン・浅草」 油彩 筆 M10号


フーちゃんが秋を迎えた。
農家の飼い主さんは毎年お月見をするそうだ。
ススキやお供えもいいけど・・・
僕には、満月が猫缶にみえるな。

満月を とってくれろと 猫が鳴く

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「十五夜」 油彩 筆 F0号





トモくんの家の近くにはコスモス広場があります。

秋日和の日トモくんはコスモスの香りをかぎながら
お昼寝するのが好き。

ある日、トモくんの指定席に先客のユウ君。
このオス猫同士の出会い、どうなるでしょうか?

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「コスモス」 油彩 筆 F8号



フーちゃんが冬を迎えた。
小春日和の日は、縁側のお昼寝が気持ちいい
木枯らしの吹く日には飼い主さんが、そっと
毛皮(ムートン)をのせてくれる
極楽だ ニャア〜

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「木枯らし」 油彩 筆 F3号




リンゴは青森を目指した。
テレビで見た青森に憧れて、たどり着く前に、秋田で冬を迎えた。
「かまくら」の温もりが気持ちよく
ここの猫になるのもいいかなと思うのだった。

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「かまくら」 油彩 筆 F0号



リンダの飼い主はクリスチャン
クリスマスを盛大に祝う

今年はサンタさんが猫缶を持ってやってきた。
リンダは日本の風習が好きになった。

だって、リンダはツリーの影からサンタさんの正体をみてしまったから・・・


サンタさん大好きニャ〜!!


【「猫島奇譚」前編・終わり】



「猫にサンタがやってきた」 油彩 筆 F15号










あとがき 「ミーコのじつは・・・」 ミーコにはモデルがある。

今は亡き父母の飼い猫で、母が亡くなった後、姉に引き取られ
2016年10月、19歳で天寿を全うした。

今年、猫島奇譚の一連の作品がほぼ完成した時に
訃報が届いた。不思議なめぐりあわせである。

左の「人物画」を描くにあたって、
私のかけがえのないものを絵画空間に飾りました。

大学生の頃描いた「二助(にすけ)一家」

(縁あって飼うこととなった猫達の絵)

ここから「私の猫との人生」が始まりました。

足元には姉の家に引き取られた「ミーコ」
キャットタワーには娘の飼い猫
ピアノやゴムの木も・・・

【下へ】


「追 想」 油彩 筆 F30号


父母の猫ミーコは当初、私にはなついてくれない手ごわい猫だった。

始めて出会った時は、ネズミ年の私はまさに「猫ににらまれたネズミ」状態。(出会い)

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「ミーコ猫出会い」 油彩 筆 F6号



母の介護で通ううちにミーコとも心が通じたのでした。(友情)

それから、ミーコをモデルに何枚かの作品が生まれました。

【あとがき・おわり】


「ミーコ猫・友情」 油彩 筆 F6号



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